百花繚乱

2017年春アニメはけっこう良作が多かったなと思っていたら2017年夏アニメはそれに負けず劣らずの豊作、百花繚乱の感がありました。SNSのアンケートでベスト3を書いてみたけどそれだけでは語りきれないので書いておきます。お勧めはこんな感じ。
異世界食堂:7日に一度、異世界とつながる洋食屋に訪れるファンタジー世界の住人たちの日常を描く作品。我々にとってはありふれた料理へのリアクションが楽しかった。
恋と嘘:近未来、政府から結婚相手を指名される社会における少年少女の恋愛模様を描いた作品。小学校の頃からの想い人への気持ちを断ち切れない中、指名相手にも惹かれていく少年の「こころ」がポイント。恋愛って人に言われてするものなの? と問われている気がした。
アホガール:頭を空っぽにして視聴しないと頭痛に襲われそうな突き抜けてアホなヒロインが織り成すドタバタ劇。中毒性がありました。回を追うごとに彼女のピュアな一面や勉強以外は異常にハイスペックな一面も見えてきてアホなエピソードを妙にシリアスに描かれるのもツボだった。
徒然チルドレン:キャッチコピーは「恋愛わんこそば」。これでもか、これでもかと高校生のムズ痒くなるような恋愛模様のショートエピソードが繰り広げられる作品。アホガールの中和剤に丁度良かった。
ノラと皇女と野良猫ハート:5分もののショートアニメ。全編、実写でヤギが写っているだけというよくわからん実験的な回があるかと思えば、シリアスなストーリーを描ききった回があったり、お馬鹿なことをやっているように見せかけながら、かなり見せ方を計算され尽くされた作品でした。
ようこそ実力至上主義の教室へ:教室での日常行動などを全てポイントで測られ、学校内でのカーストが構築されていく物語。密室内での騙し合いが見どころでライアーゲームなどが好きな方にはお勧めかな。ただ、物語としては中途半端なところで終わったのが残念。
アクションヒロインチアフルーツ:斜陽の地方都市を戦隊モノのご当地ヒロインを立ち上げて活気づかせようと奮闘する少女達の物語。昭和の特撮やアニメの小ネタがセリフや描写にふんだんに散りばめられおじさんにはツボでした。最終回は感動モノのフィナーレで今季のダークホース枠だった。
ゲーマーズ:ゲーム好きな高校生たちが織りなすすれ違いラブコメディ。一見会話が噛んでいるようで、両者が違う意図のことを言っているという笑いのスタイル。シナリオがよく練り込まれていて楽しめた。これもダークホースだったな。
メイドインアビス:王道ファンタジー物。世界最後の秘境と言われる大穴「アビス」に母を追って潜っていく少女の冒険譚。深く潜れば潜るほど環境は過酷になり、凶暴なモンスターに襲われる。病気や怪我の描写がリアルでエグいのでゆるい系のファンタジーを期待される方はちょっと注意。
賭ケグルイ:全てをギャンブルで決着させる風習のある学校に転校してきた美少女が次々に強者を賭けで撃破していく物語。顔芸アニメの異名を取っていてともかく登場人物たちが本性を剥き出しにした時の顔が見もの。
プリンセス・プリンシパル:今季の覇権。舞台は革命によって東西が壁で分断された架空都市ロンドン。時代背景は19世紀くらいかな。王国側のプリンセスを筆頭にスパイとして暗躍するヒロインたちの活躍を描く物語。キャラクターはルパン三世になぞらえたような設定で特にアクションが見もの。シナリオがよく練り込まれていて1話完結ながら毎回ラストが読めない展開が楽しめました。

とまれ、アニメ制作の方々、楽しい作品をありがとうございました。堪能させて頂きました。
スポンサーサイト

ねこやのこと

2017年夏アニメの『異世界食堂』が気に入っています。
騎士や魔法が存在するファンタジー世界のあちこちに7日に一度土曜の日にだけ現れる扉がある。その扉の向こうはなぜかこっちの世界の洋食屋につながっていて、今日もまた獣人やエルフ、大賢者といった異世界の住人が店のテーブルにつき、見たこともない料理に舌鼓を打つ──といった話です。
1回で2話ずつ詰め込まれたストーリー構成で客たちの抱える屈託が出される料理で癒されるというのはありがちといえばありがちな展開なのですが、ほっこりさせられるものがあります。出される料理はオムライスやロースカツ、チキンカレーにフルーツパフェとありふれているけど夜中に見るとむしょうに食べたくなるものばかり。
その洋食屋の名は「洋食のねこや」。ねこの絵がついた看板が目印です。店の料理に魅了された客たちは7日一度、扉が現れるのを心待ちにして、足繁く店に通うようになります。けど、毎回毎回、お気に入りの一品しか頼まず、その料理こそが店一番の料理だと信じて疑わないあたりはご愛嬌ですけど

ふと思ったのですが、こういった店って現実にもあるんじゃないかしらん。すっごく旨い料理を出すけれど店主の気まぐれで店が開いてたり閉まってたりとか。その料理にありつけるのには運が絡むとなると料理の味も3割増しくらいになりそう。
なんてラッキーなんだ。たまたま前を通ったら今日は店の看板に灯が入っている──となれば、迷うことなくその木の扉を押しちゃいそうです。
という例は極端だとしてもたとえば、手に入りにくい食材を使う料理でそれが入ったときだけ臨時に店のメニューに加わるといったことならありそうです。
関西にいた頃、通い慣らした焼き鳥屋に「下心」という串物がありました。なんだかいかがわしいネーミングですが心臓の下の部位なのでこの名前。店主のシャレが利いています。名前はともかくこの串はむちゃくちゃ美味しいので、あるといの一番に頼みます。
けど、鶏の心臓の下の小さな肉ですから一羽から採れる量は本当にちょびっとなのです。この串が店に出されるのはおよそ3ヶ月に一度。店のメニューに登場してから品切れになるまでは長くて1週間くらい。よほど、頻繁に通うか運が強くなければありつけない一品なのです。

あの串を思うと異世界の住人たちが次の土曜日を心待ちにする心情がちょっとわかる気がするな。案外、この物語の作者にも焼き鳥屋の「下心」のように出会うには運が必要な料理を心待ちにした経験があるんじゃないのかなと想像を膨らませたりしています。

恋と覚悟

毎週楽しみにしていた「月がきれい」が最終回を迎えました。
物語は美しく畳まれ、多幸感溢れるラストだったと思います。ふり返ってみると、監督を初めとする製作スタッフは思春期の恋愛について相当研究し、議論したんだろうなと思える演出が随所に溢れていたように思います。
例えば、ヒロインの親友が主人公を好きになってしまったと告白する場面。困惑するヒロインは姉に助言を求めます。
「わたしだったら、即絶交する」
言い放つ姉にヒロインはたじろぎ、それはできないと拒みます。恋は大切だけど友情も大事にしたいと反論するんですね。一見、姉の方が暴論でヒロインの優しさが垣間見えるシーンに見えなくもないですが、よく考えると姉の方が正論なんですよね。要は恋と友情どちらか一つ選べと言われたらどちらを選ぶかという問題です。恋を守りたいのならたとえ相手が親友でも火種は断たなければならないということを姉は経験から知っているのです。一方、ヒロインの主張は優しさというより優柔不断なわがままです。案の定、その火種は後々くすぶり続けて禍根を残します。
そして、クライマックス。楽しみにしていたお祭りの夜、ヒロインは部活の部長と一緒にいるところを主人公に目撃されてしまいます。元々はゴミ出しじゃんけんに二人が負けてごみを捨てに来ていただけなのですが、その後芋モチなど買い食いしながら雑談しているうちに部長に想いを告げられたその場面に主人公は出くわしてしまうのです。主人公の不機嫌はマックス、邪険にされてお祭の雑踏に一人取り残されたヒロインは泣き出してしまいます。
ネットのレビューを見ると「ヒロインが可哀そう。何も悪くないのに」とか「主人公は心が狭すぎだろう。ま、中学生だからしかたないか」という意見が散見されたのですが僕はそれはどうだろうと、疑問に思いました。この一件は明らかにヒロインの方が悪いと思うのです。恋愛未経験だから仕方がないけど、脇が甘過ぎる。誰かと付き合いだしたのなら、他の異性と二人でいるなんてシチュエーションになっちゃだめです。ましてや、お祭りのようにどこで誰が見ているかわからない場所ならなおさらのこと。ゴミを出したらさっさと部活の面々と合流してしまうべきなのに、芋モチなんか食べてまんざらでもない顔して部長と雑談なんてしている。だから、部長に告白する隙を与えちゃったんだと思います。
恋をして誰かと付き合いだすのには覚悟が要ります。それまでの人間関係、友人を喪うかもしれないという覚悟、それは恋の成就と引き換えに、時には断腸の思いを以て支払わなければならない対価なのではないでしょうか?
制作者はそのあたりの恋の駆け引きをも研究し尽くした上で、恋愛未経験ゆえの未熟さというキャラクター設定を主人公とヒロインに付与しました。見事に計算しつくされた演出プランだったと思います。

脱テンプレート

マイブームの深夜アニメ「月がきれい」も後半に突入。以前、演出が視聴者の予想の半歩先を先行して秀逸とブログに書きましたが、それだけでなくストーリー展開もラブストーリーのお約束から敢えて逸脱していて新鮮です。
既成のラブストーリー、特にラブコメと呼ばれるジャンルのストーリー展開は主人公二人がお互いを意識し合っているんだけど何らかの理由で恋愛に消極的であったり(ふられたトラウマとか男嫌いとかバリエーションはいろいろ)、優柔不断だったりして恋愛の進展にブレーキがかかる仕掛けになっているのが王道です。で、進展しないことに視聴者を散々やきもきさせておいてハプニングを起こして一気に進展……と見せかけておいて寸止め。基本この停滞⇒進展⇒寸止めコンボの繰り返しで視聴者をけん引していっていました。けどね、いい加減手垢が付いたテンプレートになっちゃっているので視聴者も展開が読めちゃうんですよ。
恋愛が足踏みしてるなと思えば、「そろそろラッキーなアクシデントが起きて二人っきりになるんじゃないかしらん」と考えたり、「キタキタキター、けどどうせキスまでいかないんでしょ」と冷めた目で見てしまったり。
やった者勝ちのコロンブスの卵的な発想なのですが、「月がきれい」のストーリー展開はこのテンプレートから逸脱するところがキモになっています。まず、主人公二人がお互いに相手のことを好きだときちんと意思表示をする。そして特に主人公小太郎はここぞというポイントで臆せず前に踏み出す。今週(第七回)でもヒロインの茜がフリーだと思い込んで遊園地でバックレた陸上部の部長の前に立ち、「彼女、俺達付き合ってるから」と言い切って茜を取り戻しました。この積極性と勇敢さは既成のアニメやラノベの主人公が持ち合わせていなかったもので、とても新鮮に見え、視聴者をけん引していく起爆剤になっています。
既成のテンプレートでは恋愛の進展役はハプニングやアクシデントあるいは友人のアシストと言った他力本願のものが多く、主人公はどちらかというと流されっぱなしの優柔不断なキャラでした(良くも悪くもなるようになるさと考えている節がありました)。時にあまりにご都合主義な展開があっても視聴者は「ま、所詮お話だから」と苦笑するのがお約束でした。
対して、今作は偶然やチャンスをあてにせず主人公は自分の意思で恋愛を前に進めていきます。これには「待っていたって恋は成就しないよ。好きな人がいるなら自分の意思で前に踏み出せ」という監督のメッセージが込められている気がします。で、そのメッセージはとてもリアルだと思うんですよね。現実の恋愛ではラブコメのようなハプニングはそうそう起きるわけもなく、自ら勇気を振り絞って手を伸ばし勝ち取るものですから。
あと、5話。ますます目が離せない作品です。

万策尽き始めた

僕の本業はSEですので、納期の重さ、厳しさはよくわかります。プロジェクトの中では実に様々なトラブルが起きて、理不尽とも言うべきクライアントの我儘や都合に振り回されることもしばしば(つか、日常茶飯事)。それでも、納期を伸ばしてもらえることなどまずありません。往々にして自分に甘くて、自分の都合で周囲を振り回すクライアントに限って、「徹夜してでも」とか「休日返上で」などとお前が言うかというようなことを平気で言うものなのです(あ、愚痴ってしまった)。

昨年の暮れ頃からアニメーション制作の2017年問題というのがささやかれておりました。今や深夜アニメは1クール(3か月)に数十本は制作される勢いなのですが、そんだけ作れば慢性的なアニメーター不足になるのは自明。で、2017年冬アニメくらいから制作現場が崩壊するという噂が流れていたのです。けど、蓋を開けてみると案外にそんなこともなく、結構良作揃いのクールだったじゃんと思っていたのですが、どっこい今クール(2017年春アニメ)から異常事態が頻発し始めました。いきなり動きがしょぼくなったり、更には動きが止まって止め絵が切り替わるだけの紙芝居になったり。そして、とうとう来たかという感じの総集編。総集編というのは今までのお話をまとめましたというような回なのですが、12~13話完結の短い物語のど真ん中に持って来る意味はほとんどありません(完結してから振り返りの意味でまとめられるのならまだわかるけど)。ここに総集編を持って来る理由はただ一つ、次の回の制作が間に合わなかったからです。特にクオリティが高くて評判が良いアニメに限って総集編が突っ込まれてファンをやきもきさせます。「せっかく楽しみにしていたのに」とネットでは大っぴらなブーイングも上がります。
けど、僕はどうにもそのブーイングに同調することはできないんですよね。だって、SEとして納期に対するプレッシャーは痛いほど分かりますから。納期を落としたらもう仕事はもらえないかもしれない。そう思うと胃に穴が開きそうになります。実際に穴が開いたり過労で倒れた同僚を何人も見てます。だから、容易に想像できてしまうんですよ。総集編の向こうで目を血走らせて必死で働く人たちの姿が。誰だって好きで納期を落としたりしません。楽をするために総集編でごまかす制作者もいません。それこそ寝食を惜しんで死にもの狂いで頑張ってそれでもどうにもならなくなって万策尽きて総集編に頼るしかなくなっているのです。その総集編が流れている間もアニメーターはひたすら描き続けているのです。ビール片手にへらへら笑ってそのアニメを観ているだけの人にブーイングやヤジなんか飛ばされたくないだろうなぁとそれは容易に想像できてしまいますから。
それに、同調しちゃったら「徹夜してでも」とか「休日返上で」なんて軽く言うクライアントと一緒になっちゃいますもんね。

願わくばもう少し淘汰されて製作本数が減ってアニメーターに安寧がもたらされんことを。今クールも半分を過ぎました。もう一頑張り。ゴールを駆け抜ける瞬間を胸に描いて走り続けて下さい。と、エールを送っておきます。くれぐれもお体には気を付けて下さいね。
プロフィール

choal29

Author:choal29
酒と料理をこよなく愛するシステムエンジニアです。
食卓応援サイト「Gの食卓」を運営しています。
↓こちらもよろしく!!
http://diningg2011.web.fc2.com/index.html

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR