思わず食べちゃいたくなる色

先日、みをつくし料理帖の9巻目『美雪晴れ』を読みました。このシリーズも残すところあと1冊。名残惜しい限りです。
作中、料理を美味しそうに見せるため色合いが如何に大切かという話が出てきました。色によって食欲が湧く色、食欲が萎える色というのがあるという話です。最も、食欲をそそられる色として赤が挙げられていました。なるほど、確かに暖色系の色は体がぽかぽか温まりそうで美味しそうに見えるかもしれませんね。ただ、一口に赤と言ってもいろいろな赤があるように思います。

トマトの瑞々しい赤。桜餅の優しい桃色。鷹の爪の赤。パプリカの鮮やかな赤。人参の甘みを連想させる赤。いくらの赤。とびっこの赤──食材によってそれぞれの持ち味とも言える赤があります。特にその食材の味や特性を見る人が知っている場合は食欲がいや増す気がしますね。

逆に食欲が萎える色は焦げた黒などだそうです。なるほど、確かに食べる気をなくすかも。
料理を盛りつける上で色合いは重要ですが、それは何も単色だけの話ではありません。組み合わせは更に重要になってきます。お正月によく見かける紅白なますは誰に言われなくてもなんとなくおめでたい雰囲気を味わえますし、ブロッコリーの緑にプチトマトの赤でサラダを作るとクリスマスっぽくなります。色合いが単調な料理やスープにアクセントとしてドライパセリやパプリカ(スパイスの)を振るのも常套手段ですね。

以前、居酒屋を舞台にした小説を書いた時、文章でシズル感を出すための工夫として多用したのもこの色目でした。
たとえば牡蠣の時雨煮の小鉢をこんな風に描写しました

佃煮色に染まった牡蠣の粒にとろみをつけた煮汁がかかって艶やかに光っていた。

佃煮色は僕の造語ですが一発で小鉢の中の情景が浮かんできませんでしょうか? このシリーズを書く準備として料理の色目帖というのを作りました。これは色の系統ごとにどんな描写があるかを書きためたもので例えば赤系の項を見るとこんなことが書いています。

朱、薄桃色、桜色、紅、深紅、火色、緋色、ぶどう色、赤銅色、えんじ、柊の実の赤、煉瓦色

小説は文章のみを駆使する芸術ですのでシズル感を出すには読者の想像力をかき立てるしかありません。そして、読者の想像力というのはその人が過去に経験した記憶に基づくものなのです。汎用的でありながら月並みでない表現。誰もが知っていてそのくせそれを刺激すると必ずつばが湧いてくる言葉。ある程度は成功してたんじゃないかなと自負しています。
とまれ、色の力は料理にもそれを表現する小説にも絶大な力を持ってるよなぁとふと思った次第です。
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献立表

金曜日の昼休み、僕は激しい後悔に見舞われました。そぼろご飯、豚バラと大根の炊いたん、ホタテの佃煮。一つ一つをとればどれも美味しそうなお弁当のお菜。でも──醤油、醤油、醤油 どんだけ醤油味やねん
いつもお弁当の献立を考える時は冷蔵庫を覗いて行き当たりばったりに適当に組み立てていたのですが、あまりにも適当すぎたと反省。で、このような悲劇を繰り返さないためにも何か対策を立てねばと思い立ちました。
問題の要点は個々のおかずだけではなくお弁当全体のバランスが取れているかどうかが可視化されていないこと。食材が偏っていないか?(肉ばっかりとか野菜ばっかりとか) 味が偏っていないか(甘辛ばっかりとか) 見た目の色合いが偏っていないか?(全体に茶色とか) そういったチェックができる工夫が必要です。加えてできれば一週間程度で献立が見渡せてお菜がかぶりすぎていないか(魚と肉が交互にくるぐらいがベストか?)が分かればなお良し。
ということで、献立表を試作してみました。
献立
あちこち、手直しが必要そうだけど取りあえずはこれで良し。肉、魚、野菜と字を色分けしたのでパッと見で偏りがないかチェックできて結構見易いです(自画自賛)。
あと、献立表の副次的効果として冷蔵庫の計画的な在庫整理に有効だと気づきました。つまり、週末冷蔵庫の中身をチェックして今週これだけ消費すると決めてやれば買い足さないといけない物が何か? が、見えてきます。逆にそれ以外はうっかり買っても今週使う予定がないから無駄になってしまうとも気づきました。すばらしい。
更に加えて、お菜の連携ができる たとえば1/29に『簡単ちらし』をエントリーしていますが、これの具材に前日作った『蓮根ときくらげの炒め物』が入る予定。1/30の『蒸し鶏と大根の中華風サラダ』(注:サラダが二つかぶっていることに気づき、後刻『チキンナゲット』に変更)は前日の『鶏ごまごはん』の胸肉がシェアされる予定──まるでセッターからアタッカーにボールがトスされるように流れるような連携技が組める
改良を重ねていけばまだまだ無駄を省いて家計に優しいお弁当ライフを送ることができそう。ほんの思いつきで始めたことですがこれは結構ヒットかも

『君に届け』視聴

天の邪鬼な性格なので、大ヒットしている映画やドラマはどうも敬遠しがちです。大勢の人が「わーっ」って感動している輪の中に加わるとミーハーみたいでヤだとかしょうもない意地を張ったりしちゃうんですよね。
かなり前から名作聞いていた「君に届け」というアニメもそんな理由から観ずにいたのですが、レンタルのウィッシュリストに放り込みっぱなしにしていたら、たまたま順番が回ってきて先日ポストに入っておりました。まあ、来てしまったものはしょうがないし、お金を払ってレンタルしているわけですから観ずに返すのはもったいない(って、そこまで嫌っているわけじゃなく、まだつまらない意地を張ってるだけなのですが……)と思い至り視聴しました。

ハマってしまった

少女漫画が原作の学園ラブストーリー物と聞いていたので、どうせ内気で弱気で自分に自信が持てないヒロインがクラスのリーダー的な男の子に片思いしてやがてそれが実る──的なストーリーを想像していたのですが、一つ読み違えておりました。
それは、ヒロインのキャラクター造形。ピュア過ぎる天然ぼけといえば良いのかな。周りから貞子と呼ばれても(本名は爽子で一字違い)、霊感がないことを申し訳なく思ったり、クラスメイトが普通に接してくれただけで「いい人」と感動したり、嫌がらせ半分で肝試しの幽霊役を頼まれても人の役に立てたと嬉しがったり……それらの言動を素でやってしまうちょっとずれた女の子なのです。反面、惹かれている男の子との恋の橋渡しを頼まれた時は、「ごめん、協力できない」と言い放つ自分の想いに対して真っ直ぐな芯の強さを持ち合わせています。
人に優しく計算がない、それでいてちょっとずれた言動が笑いを誘ったり、いじらしく思えたり──見事なまでに視聴者の心を鷲づかみにして誘導していく作り手の手腕に感動しました。ヒロインは計算のない性格ですが、作り手は間違いなくストーリー構成、脚本、絵をく隅々まで計算し尽くしています。
自分もこんな風に読者をぐいぐい引っ張っていくキャラクターを描いてみたいと思って試行錯誤中。物語を書く立場の人間として非常に勉強になる作品に出会えたことに感謝。タイトルに偽りなくこの作品はポストではなく僕の心に届けられました。

って、これを書いてて試聴の仕方がたぶん普通の人とちゃう気がしてきた

春を待つ

ふんわりと
雪の積もった山陰から
冬空が
綺麗に晴れ渡っている
しみじみと
陽の暖かさは身に沁むけれど
ま白い雪の山越えて
春の来るのはまだ遠い    by 伊藤 整『春を待つ』より

今日はお年玉付き年賀状の当選発表日。切手シートが例年より一枚多く三枚当選していたのでちょっと嬉しい。
って、そんな他力本願な当選発表より待ち望む当選発表が僕にはあるのです。それは──公募に投稿した小説の当選発表。今日、今年最初の投稿をして参りました。

『第25回ゆきのまち幻想文学賞』
雪の幻想性をテーマにした、雪を感じさせる物語を募集とありまして、原稿用紙10枚以内の未発表小説が対象です。
この賞には去年苦い思いをしておりまして、生まれて初めて書くホラー小説を何とか仕上げて応募しようとしていたのですが、どうにも10枚に収まらず断念したという。まあ、今振り返ってもあのストーリーをその枚数で書くというのは無理がありすぎだろうと苦笑するしかないのですが。
ということで、今年はリベンジマッチ。雪ん子や雪女がいるのなら、いい歳をしたおっさんの姿をした雪の精がいても良いじゃないかという半ばやけくそのようなファンタジーを書き下ろしました。
〆切りは1月20日なのでそろそろヤバいと思い、推敲を切り上げて先ほど郵便局に行ってきたところです。

募集要項には
『雪降る季節にご応募いただき、春を待つ季節に審査、早春に発表いたします。 』
とあります。さてさて、あとは春を待つ身。桜のつぼみがほころび始める頃には吉報が参りますように……
っていうスタンスはあまりに自分らしくないので言い直します。

我かくあり。ご照覧あれ

二夜連続「オリエント急行殺人事件」

三谷幸喜の「オリエント急行殺人事件」二夜連続のお正月ドラマ。ようやく観ました。
一夜目は原作に限りなく忠実にということでしたが、原作と言うよりは映画版の見事な再現でした。カメラアングルからキャラクター設定まで凝りに凝った再現度。特にポワロ役の野村萬斎さんのあの仕草としゃべりはお見事というしかありません。

が、……。ネットのレビューを見ると、野村萬斎の演技はかなり不評だったみたい。
スーシェの猿まねとまで書かれていてをいをいと思いました。
あれはアルバート・フィーニーと田中明夫のオマージュでしょ。スーシェと一緒にするんじゃないよ、にわかか?

結局、自分的には大満足の第一夜だったのですが、公平な目で見ると映画版に対する遊び心満載にするあまり未見の人が楽しみづらい(なんでそういう演出なのか、なんでそういう演技なのかわからない)作りになっていたのかもしれません。
リメイク作品を評する時、「前作もそうだったから」と言うのは卑怯でしょう。演出の責任は今作のスタッフと役者が背負うべきです。見方を変えると中学の頃にワクワクしながら観た映画版の演出や演技も今の時代ではウケ難いのかもと思い至りちょっと寂しい思いをしました。

二夜目は世界初。犯人視点からのドラマ。って、てっきり被害者の佐藤浩市視点かとなぜか思い込んでしまいました。誘拐犯の方じゃないって
こちらは三谷ワールド全開。重苦しい話なのに適度にコミカルであっというまの3時間でした。普通観客は舞台(寝台車)の上にいる役者のお芝居しか観ることができないのに楽屋裏(寝台車に乗り込むまでのドラマ)をたっぷり見せてもらって大満足です。

自分的にはクリスティの中でも一、二を争うくらい好きな作品。こういう形で再現してくれてありがとうと申します。お薦めですよ。

出典

『人間は細胞の塊だというのは、シェークスピアは単語の羅列だというのに等しいよ』

誰の言葉だったのでしょう。絶園のテンペストというアニメを見ていてこの言葉を思い出しました。
このアニメ自体は典型的な中二病賛美みたいな作品で全然好きになれないのですがなんとなく惰性で見てしまっています。平凡な高校生の主人公がふとしたきっかけで魔法を手にして世界を救うというなんとも痛々しい内容なのですが、この高校生がやたらとハムレットの台詞を口にするのです。そこがまた痛い
で、本編とは関係なしにシェークスピアからの連想で冒頭のフレーズを思い出したと。僕はこういったフレーズの出典がわりと気になる質でここ数日居心地の悪い日々を過ごしています。
ネットの発達した今日、たいていのことはgoogleで検索すれば情報が得られるものですが、このフレーズはうろ覚えだったらしくまるでヒットしてくれません。骨子は合っていても言い回しが正しくないのかな。

『とめてくれるなおっかさん』

で、出典から連想したらこんなフレーズが浮かんできました。これの出典は国定忠治か何か旅芸人がやりそうな時代物の芝居の台詞だろうと思い込んでいたのですが意外にも歴史は浅く、橋本 治(昭和23年生まれの作家)が大学生の時にポスターに書いたキャッチフレーズらしいですね。彼の小説は桃尻娘のシリーズくらいしか読んだことはないのですが、かなり素っ頓狂なキャラクターを描く作家さんです。

逆に出典は知っていてもそのフレーズに続きがあるのを知らないケースもあります。

『やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。』

これは山本五十六の名言です。今でも部下マネージメントの教育などでよく使われる至言ですが、次のような続きがあることを長く僕は知りませんでした。

『話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。』
『やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。』

知ってみるとこの3つのフレーズで初めて完結していることがよくわかります。

『国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。』

これはご存じ川端康成の雪国の書き出しです。では、この続きは? と尋かれると意外と答えられない人が多いのではないでしょうか?

『夜の底が白くなった。』

夜に底があるという比喩が白と黒のコントラストを鮮やかに浮き上がらせていて僕はこの第二フレーズこそ名文だと思うのですが如何でしょう?
フレーズを知っているだけでそのフレーズを呑み込んだつもりになるのはいささか浅薄な気がします。誰がいつ、どのような心情でそのフレーズを口にしたのか? どのような背景が彼(又は彼女)にそれを言わしめたのか? あるいは、そのフレーズの後にどのような言葉が続くのか。出典を学ぶことは間違いなくそのフレーズの理解を深め、自分の中で活かすことに役立つと僕は思います。

『宇宙戦艦ヤマト2199』鑑賞

少し前にオンエアされていた『宇宙戦艦ヤマト2199』をレンタルで借りて鑑賞しました。
これは第一回ヤマトシリーズのリメイクです。ストーリーはあちこち変わっていましたがこれこそヤマト といえる王道ストーリーで楽しめました。
第一回が放映された頃、自分は小学生で妹達と熾烈なチャンネル争いをしていましたっけ。何しろ裏番組は伝説のファミリーアニメ「アルプスの少女ハイジ」でしたから分が悪いことこの上ありませんでした
ハイジはおいておいて、子供心に画期的なアニメの登場に喝采を送ったものです。主人公だけでなく多くの脇役に人間臭いキャラ付けがされている。敵方もただの悪役ではなく大義もあれば熱い想いもある。加えて精密なメカの描写、壮大なストーリー。それまでの『子供向けアニメ』とは一線を画した快作でした。その後、多くの宇宙戦記アニメが作られましたがこの作品から受けた影響は少なくないと思います。

で、21世紀になってリリースされたリメイク版。大きく三つのポイントが旧作との違いだと思います。
一つ目
メカが進化している。通信技術、ナノテクノロジー……、改めて40年後の科学の進歩を目の当たりにした気分です。
二つ目
旧作で曖昧だったり、いささか苦しかったストーリー設定に新たな解釈を加えて矛盾を解消している。加えてちょくちょく加えられる新エピソードはロボットに感情はあるのかといったSFヲタクチックなものもあり楽しめました。
三つ目
女子が大量に増えてる お約束の萌えキャラ満載です。おそらく昭和50年代にこの作りだったら総スカンでしたでしょうけど、逆に今のご時世で昭和の登場人物だったら物足りなく感じたアニメファンは多かったでしょう。
女子が増えた分、むさ苦しさが少しクールダウンしてややキャピキャピ(死語か?)した雰囲気が随所に感じられました。地球を救う急ぐ旅のはずなのに水着回まであるんですからたいしたもんです。監督の使命感をまざまざと感じましたね(をい)。

とまれ、旧作ファンにとっても初めて鑑賞する人にとっても楽しめる仕上がりになっています。ちょっとお薦めの一作かも。

宅配ライフ

遅まきながら新年明けましておめでとうございます。
夕べは宵の口から睡魔に襲われ、あろうことか8時前には床に就いてしまいました。その反動で今日1月10日は午前2時過ぎから一日が始まっております
とりあえず起床の儀式としてPCのメールをチェックしてみると『宅配便の荷物がそちらに向かっています』とのこと。心当たりがないけどなんでしょう? とりあえず、今日の午前中は別の用事もあって在宅しているので時間指定をしておきました。
って、当たり前に「何時頃届けて下さい」って、電話一本かけることもなく24時間いつでも連絡できちゃってますが、とんでもなく便利なったものです。ほんの少し前までは、家に不在通知の紙が挟んであると宅配業者の営業時間になるのを待ってから電話を入れて、持ってきてもらう時間を改めて取り交わしておりました。んで、その時間帯は必ず家で待っていないといけなかったという。
今では、コンビニ預かりもできるので、「そろそろ着いたかな」という頃合いを見て近所のコンビニにGOすれば待機時間0で荷物を受け取れます。
ネット通販とセットで格段に便利になった宅配便ですが、そのスピード感は既成のビジネスモデルと比べると徒歩と新幹線くらいの差がある気がします。老舗の書店がたちいかなくなって閉店に追い込まれるといったニュースを目にすると暗い気持ちにもなりますが利用する側からすればなんともありがたい時代になったなぁと感じます。

ところで、今日の午前中と指定しちゃいましたが、考えてみると丑三つ時の今も午前中と言えば言えなくもない……
よもや、いきなりインターフォンを鳴らして陰気な顔をした配達員が玄関口に立ったりすまいよなとかアホなことを考えていたら、時報ソフトが鳴動
……
心臓が止まるかと思った。間が良すぎでしょう
プロフィール

choal29

Author:choal29
酒と料理をこよなく愛するシステムエンジニアです。
食卓応援サイト「Gの食卓」を運営しています。
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