脱テンプレート

マイブームの深夜アニメ「月がきれい」も後半に突入。以前、演出が視聴者の予想の半歩先を先行して秀逸とブログに書きましたが、それだけでなくストーリー展開もラブストーリーのお約束から敢えて逸脱していて新鮮です。
既成のラブストーリー、特にラブコメと呼ばれるジャンルのストーリー展開は主人公二人がお互いを意識し合っているんだけど何らかの理由で恋愛に消極的であったり(ふられたトラウマとか男嫌いとかバリエーションはいろいろ)、優柔不断だったりして恋愛の進展にブレーキがかかる仕掛けになっているのが王道です。で、進展しないことに視聴者を散々やきもきさせておいてハプニングを起こして一気に進展……と見せかけておいて寸止め。基本この停滞⇒進展⇒寸止めコンボの繰り返しで視聴者をけん引していっていました。けどね、いい加減手垢が付いたテンプレートになっちゃっているので視聴者も展開が読めちゃうんですよ。
恋愛が足踏みしてるなと思えば、「そろそろラッキーなアクシデントが起きて二人っきりになるんじゃないかしらん」と考えたり、「キタキタキター、けどどうせキスまでいかないんでしょ」と冷めた目で見てしまったり。
やった者勝ちのコロンブスの卵的な発想なのですが、「月がきれい」のストーリー展開はこのテンプレートから逸脱するところがキモになっています。まず、主人公二人がお互いに相手のことを好きだときちんと意思表示をする。そして特に主人公小太郎はここぞというポイントで臆せず前に踏み出す。今週(第七回)でもヒロインの茜がフリーだと思い込んで遊園地でバックレた陸上部の部長の前に立ち、「彼女、俺達付き合ってるから」と言い切って茜を取り戻しました。この積極性と勇敢さは既成のアニメやラノベの主人公が持ち合わせていなかったもので、とても新鮮に見え、視聴者をけん引していく起爆剤になっています。
既成のテンプレートでは恋愛の進展役はハプニングやアクシデントあるいは友人のアシストと言った他力本願のものが多く、主人公はどちらかというと流されっぱなしの優柔不断なキャラでした(良くも悪くもなるようになるさと考えている節がありました)。時にあまりにご都合主義な展開があっても視聴者は「ま、所詮お話だから」と苦笑するのがお約束でした。
対して、今作は偶然やチャンスをあてにせず主人公は自分の意思で恋愛を前に進めていきます。これには「待っていたって恋は成就しないよ。好きな人がいるなら自分の意思で前に踏み出せ」という監督のメッセージが込められている気がします。で、そのメッセージはとてもリアルだと思うんですよね。現実の恋愛ではラブコメのようなハプニングはそうそう起きるわけもなく、自ら勇気を振り絞って手を伸ばし勝ち取るものですから。
あと、5話。ますます目が離せない作品です。
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