一期一会を嫌う

いろいろあって、9月に横浜住まいを畳むことになるかもしれません。
ま、単身赴任で来てるわけで、いずれそうなることは分かっていた話なのですが、結構この街に愛着がわいているので寂寥感ははんぱないです。
でも、冷静に考えるとね、じゃああと1年後なら寂しくないのか? とか、10年後なら納得いくのかって話なんですよね。きっといくら時間を重ねても、いや時間を重ねれば重ねるほど名残惜しい気持ちはうずたかく積み上がっていくと思うのです。
極論を言えばある夜、死神が夢枕に立って「お前は余命2ヶ月だ」と宣告したとして「そんなぁ」と悲しがるようなものかな。じゃ、「お前は余命30年だ」と言われたら何か変わるのかという話。ぐうたらな性格ですからそんなこと言われたら29年と10ヶ月くらいはだらだらと暮らして残り2ヶ月になって泡を食うに違いないと思っちゃいます
で、夕べ馴染の居酒屋に顔を出してご報告して参りました。その折、ふと思い立って口にした言葉、

「僕、一期一会って言葉はあんまり好きじゃないんですよね」

なんかそれを意識するとせっかくの場を楽しめないというか、極端な譬えをすると侍が白装束を着て目の前に脇差が置かれてるみたいな、そんな気分になっちゃうのです。別に意識しなくてもいずれは店の暖簾をくぐる最後の日は必ずやって来ます。それは、今回ほど明確なけじめが付いている日じゃないかもしれません。いつもと何ら変わらない調子で酒を呑んで、おやすみなさいと言って店を出たところで車に轢かれちゃうなんてことだってあるかもしれません。
そういえば松田優作さんが大のお気に入りだった大阪のお好み焼き屋さん(豚もやしせいろ蒸しってのがすっごく美味しいのだ)のエピソードを思い出します。ある時、彼が顔を出すと店が混んでいて「あ、じゃまたにするわ」って体で手を振ったので店主も軽く頭を下げたとか。その時、彼は末期がんを患っていてそれから、顔を見せることは終になかったとか。店主は未だに心のどこかで悔いを抱えてるとその店をモデルにした「プリンセストヨトミ」という映画のパンフに書いてました。けどね、それは悔いるようなことではなく思い出にすることだと僕は思うのです。優作さんにとってはその1回前の来店が店にお別れを告げた時──そう思いましょうよ、なんて言いたくなります。

ご縁があったらいずれまた。

そう言って、店の暖簾をくぐって夜空を見上げる。一期一会というほど悲壮な物ではなくてぼくはそっちの方がずっと粋な生き方だと思います。
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