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音響の妙技

アニメ制作に関わるスタッフには「監督」と名の付く役職がたくさんあります。アニメ制作全体を取り仕切るオーケストラで言えば指揮者に当たるその名もずばり「監督」以外に、作画監督(動画の動きに問題がないかチェックする人。その上に総作画監督がいたりもします)、背景監督(背景に問題がないかチェックする人)、CG監督(コンピューターグラフィックスの仕上がりに問題がないかチェックする人)、撮影監督(撮影に問題がないかチェックする人)、音響監督(音響に問題がないかチェックする人)など。要は班ごとの分業制でアニメは作られるのでその班ごとに問題がないかチェックする人が必要でそれを監督と呼ぶのだそうです。
それだけ聞いていると小学校の班長さんか、せいぜい会社の課長さんをイメージしてしまいますが、そこはプロ、作画監督は作画に関しては図抜けたセンスを持っているし、背景監督は背景美術に関して自他ともに認めるナンバーワンだったりと、一廉の職人達だったりするのです。
過日、パソコンでアニメのDVDを再生しようとしたところOSの不調でなかなかソフトが立ち上がってこない。仕方がないのでキッチンで他事をしていたら背後でアニメが再生される音。ちょっと手が離せなくなっていたのでそのまま聴いていたのですが背筋がぞわそわっとしてきました。登場人物のセリフにリズムがある、音の強弱がある、派手なGBMなど何も鳴ってはいないのに、人のセリフがまるで波が寄せては返すように音が迫ってきたかと思えば引いていく。絵を観ながらだと気づかなかった音の演出に改めて気付かされました。なるほど、これが音響監督の仕事なのですね。コーラスを長くやっていますが似た旋律が続く局面では聴衆は飽きてきます。あるいは眠たくなってきます。そんな時、意図的に強弱を強めに演出したり、微妙に曲の速さをうねらせて聴衆を引き込んでいくのが指揮者の腕の見せ所なのですが、音響監督にも似たような仕事が課せられていたんですねぇ。確かに人の話声(=セリフ)は音楽ほどドラマチックではないので長く続くと聴く側は飽きてきます。そんな時、BGMで場を盛り上げるのは容易ですが下手をすると「さ、盛り上がってまいりました」という演出意図が透けて見えて観客をますますしらけさせてしまうリスクがあります。それだけ安直な演出手法でもあるんでしょうね。そんな時、BGMに頼らず人間のセリフそのものにリズムや強弱を付けて盛り上げようとするとは、脱帽です。恐らくアニメ全体を観ていたら素人の我々には気づかないような演出で、それでも気づかないなりになぜか気分が高揚していくのでしょう。職人の仕事の奥ゆかしさと奥深さを再認識した体験でした。
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