デジャヴ

最寄り駅近く、徒歩5分のところに良い感じの居酒屋がありまして日本酒の品揃えが豊富なのが気に入っています。しかも、売り切るとまた別の蔵の酒を仕入れて来られるのでいつ行っても違う酒が呑めるというヘヴン状態。肴も下ごしらえが丁寧で料理の基本を心得ておられるなと感じさせるものばかり。なので、時々お邪魔しては止まり木にたむろしております。
僕は珍しもの好き、新しもの好きなので、お品書きの中から呑んだことがない酒を選んではオーダーするのですが、「お、この酒も良い感じ。今まで呑んだことがないタイプかも」とか悦に入っていると「え、それ前も呑んだよ」とご主人に笑われることがしばしば。……、どうもね、寄る年波なのか、酔っ払っているからなのかとんと記憶力が凋落しちゃってる今日この頃みたいなのです。
受験勉強をやっていた高校生の頃、暗記というのは繰り返し繰り返し読んで刷り込むものだと思っていました。それこそ写経のように千回も万回も単語カードを繰っていればやがて頭にこびりつくのだと。けどね、今振り返るとその頃覚えた単語なんてまるで覚えていないんですよね。それどころか、受験当日ですら何割かは抜け落ちていた気がします。他方、例えば大好きで何回も観た映画のセリフなんかは諳んじることができたりします。それこそ、一言一句の相違もなく。社会人になってから気付いたのですが目から入る情報は意外と記憶に残らないのです。入ったそばから忘れられていく。逆に耳から入った情報は意外と何年も残っていることがあるみたい。受験期にそれを知っていれば、それで受験する大学は変わらなかったとしても勉強は随分楽になってたんじゃないかなと省みて思います。実際、とある資格試験を受ける時にボイスレコーダーに問題と正解を吹き込んで2日間、聴き続けたら600問まるごと覚えちゃいましたからね

昨日、東京駅方面に出る用事があってお昼時だったので日本橋あたりでランチしましょうと思い立ち著名な天ぷら屋さんを訪ねました。ランチメニューは天丼950円のみ。そのリーズナブルな価格設定をネットで目にした時点で気付くべきだったのです。店の前には長蛇の列ができておりました。ま、時間に余裕があったのでおとなしく整列。行列が進むに連れてひしひしとある疑惑が胸に湧いてきたのです。「こんな行列に前も並んだ気がする」、「本当に自分はこの店に来るのは初めてだろうか?」。「いやいや、前に並んだのは鰻屋だったでしょうが、いや洋食屋だったかな」と自分に言い聞かせながらもデジャヴの不安は払拭できませんでした。
1時間強並んでようやくのれんをくぐる。出された天丼は950円とは思えない豪華な物。穴子の一本揚げ、海老天が二本、ししとう、海苔、烏賊そして──半熟の卵。間違いなし、自分は外で卵の天ぷらを食べたことはない。この店は初めてだと確信が持てました。料理を堪能させて戴き、店を出る時、後ろ手に閉めた格子戸は凝った蛇腹の造りになっておりました。そうそう、これくらい店の特徴を出してくれていればいらんデジャヴに悩まされることもないんだよと、自分の忘却癖を棚に上げてひとりごちておりました。
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