アドリブの抽斗

映画やドラマと違ってに生の舞台劇の場合、撮り直しが利きませんからアクシデントが起きるとその場でなんとかするしかありません。そういった時、役者が機転を利かせてアドリブをかませて凌ぐと後で彼又は彼女の才能が絶賛されたりします。けど、それって80%くらいは勘違いなんですよね。才能でアドリブをかませられる人がいるとすればそれはもう本当に天才で、多くの場合アドリブは役者の経験から生み出されるものなのです。
役者は舞台経験を積めば積むほどいろいろな局面に遭遇します。アクシデントも経験します。幕が下りてからその日の舞台を振り返った時、「あ、あのアクシデントはこうやっておけば良かったな」なんて思うのはままあること。その思いがアドリブの種となって役者の抽斗(ひきだし)の中にしまいこまれるのです。そしてまた別の舞台でアクシデントに遭遇した時、役者は瞬時に脳内の抽斗を全開にします。そして、一番この場にそぐうアドリブの種を引っ張り出して開花させるのです。
ですから、アドリブの巧拙は概ね役者のキャリアと比例します。逆に何年やっていてもアドリブの一つもかませない役者がいるとすれば、それは反省をしない役者だと見て間違いありません。

ジャンルは違いますが、新しいプロジェクトを立ち上げる時にはリスクの洗い出しというのをやります。「このプロジェクトではどういった問題が発生する可能性があるか」というのを予測して一覧表を作り、予めそのリスクが発生した時の対処法を決めておく作業です。リスクの洗い出しのミーティングをやる際はベテランで過去にろくでもないプロジェクトを多く経験したSEをゲストに呼ぶのが一つのセオリーになっています。往々にして彼らは悲観的で、あんなこともあるかも、こんなこともあるかもと次々にろくでもない事例を披露してくれるのです。それだけじゃなく、「こういう時はこうしたら良い」というアイデアも経験則から教えてくれます。逆に経験の浅い駆け出しSEはこういう会議ではあまり役に立ちません。地を這い回るようなトラブルの経験がなければ想像だけで起きうる問題を予測するのはやっぱり不可能なのです。

もし、観劇に行ってアクシデントをアドリブで乗り切った役者がいれば彼の才能ではなくそれまで培ってきたキャリアにこそ喝采を送ってあげて下さいな。

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