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旅愁

池波正太郎の「散歩のとき何か食べたくなって」を読んでいます。地元浅草や仕事で出かけた地方都市などで出会った料理屋を綴ったエッセーなのですが、ドキュメンタリー臭くなくてきちんと物語として読める筋があるのが彼らしい。そして料理やそれを作る料理人に対する鋭敏な観察眼に舌を巻きます。読んでいるとなんだかふらりと出かけてどこかの暖簾をくぐりたい気分にさせられている時点でこのエッセーは成功していると言えるでしょう。
僕は高校を卒業するまでは家と学校を往復するだけで勉強漬けの生活をしていたのでとりわけて旅への憧れが強かったように思います。大学に入って一人暮らしを始めるとその反動がきちゃったのでしょう。長い休みの度に一人旅に出かけました。初めての試験休みには山口市から津和野、萩、秋芳洞。行く先々で酒を買って、宅配便で送るという発想がなくて荷物がどんどん重くなりましたっけ。津和野は造り酒屋が散財する町。杉玉をみつけては軒をくぐり試飲させてもらうものだから昼間っからいい気分になっておりました。名前も忘れましたが萩で入った喫茶店で生まれて初めてのロシアンティーを飲みました。ウォッカで伸ばしたママレードを紅茶に入れて飲むスタイルにちょっと大人になった気分。
初めての春休みには金沢から輪島、富山、飛騨高山と足を伸ばしました。金沢では生まれて初めてのビジネスホテルに宿泊。フロントの脇に小さなスナックがあってそこのママさんとえらく意気投合してウィスキーをボトル1本開けちゃったなぁ。一昨年、久しぶりに金沢を訪れましたが当時の雑然とした駅前の風景はは霧散していてどこにでもあるような地方都市の佇まいになっていたのは寂しかった。輪島では民宿に近い旅館に泊まったのですが、とにもかくにも海の幸が旨かった。で、東京から来たというお姉さん(僕より2、3歳上だったと思う)と意気投合して1時間近くしゃべくりながら食事、「明日、朝市に行こうよ」と誘われたのですが旅程の関係でごめんなさいしました。考えてみると、あれが人生初のナンパ体験だったなぁ。結構、きれいな人だったのに今だったら絶対断らんぞ。高山は江戸時代から取り残されたような佇まいの町でしたけど今は変わり果ててるんじゃないかな。ちょっと行くのが怖い。
4年に上がる春休みには長崎に4泊5日で行きました。お昼はちゃんぽんと皿うどんのヘビーローテーション。夜は一度、名物のしっぽくを食べに行きました。最後に出てきたぜんざいが衝撃的だった。「ここへ来て口の中を甘くして帰れというのか」と内心文句を言いながら飲んでみたら、さっぱりしていて甘さはぐっと控えめ。洋食の下手なデザートよりずっと気の利いた〆の一品でした。で、この街でも夜はバーに入り浸り。確か、キング・ジョージという名の店だったと思うのですが今検索したらヒットしませんでした。もう三十年も前の話だしたたんでしまわれたかな。この店で初めて流しのギター弾きというのを見かけました。カラオケがまだ流行りだす前のこと、店を回って客の歌に合わせてギター伴奏をする商売があったんですよね。今思うと時代的にもほぼ消滅寸前の頃だったんじゃないかな。ここのママさんは気風のいい人ですぐに仲良くなりました。で、僕と同い年くらいのバイトの姐さんと意気投合。最終日には夜のお誘いを受けたりしましたっけ。当時付き合ってる女の子に操を立ててごめんなさいしたんだけど、結構可愛い子だったし今だったら絶対断らんぞ(そればっかりか)。

僕の旅は事前にみっちりと情報収集してみっしりと計画立てて出かける割には行った先では行き当たりばったり、予定のなかったのれんをくぐることもしばしば。でも、不思議なほど店の中には魅力的な人が「お待ちしていました」とばかりにいて、楽しい時間を過ごせたものです。池波正太郎を読んでいるとどこかに出かけたくなる。こんなブログを書いていたらますます出かけたくなる。今日の昼は何か旨いものでも食べに散歩に出かけましょうか。
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Author:choal29
酒と料理をこよなく愛するシステムエンジニアです。
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