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stand aloneできない人々

日露戦争を舞台にしたドラマ「坂の上の雲」にちょっとハマっています。主題歌のstand aloneも美しい。相変わらず、久石譲さんは素敵な楽曲を生み出しますね。
ところで、僕らSEにとってstand aloneと聞いてすぐに思い浮かぶのはネットからも切り離された環境で独自に機能するサーバのこと。これをstand aloneサーバと言います。他のサーバがないと機能しないサーバの対語で、漢字で書くと自律したサーバと呼ばれます。
更にところで、浅田次郎氏が90年代に書かれたエッセーに一人の日本人青年が登場します。氏がアメリカに旅行されていた時のこと、飛行機が遅延してトランジットが巧くいかなくなったらしいのです。空港で見かけたその青年は所在なげにぽつんと立っていたそうで、氏が「どうした?」と聞くとホッとした顔になって「僕はどうしたら良いんでしょう?」と聞いてきた。俺が声をかけなかったらこの青年は誰かが助けてくれるまでずっとここに立っていたんだろうかと危ぶんだとエッセーには書かれています。青年に代わってカウンターで交渉していた時、たまたま隣に日本の基地に帰還する米兵がいたので青年の身柄を預けたそうで、それでも何も言葉を発しない青年に氏はひとくさり説教をくれてやったとか。「こういう時は礼のひとつも言うもんじゃねぇのかい」。それでもまだピンと来ていない青年に呆れ、そういう青年を育ててしまった時代に危惧を感じているとエッセーは結ばれています。
長いこと日本で暮らすと異常事態に対して鈍感な子供たちが増えるのでしょうか? きっと、誰かがなんとかしてくれると思い込んで、実際添乗員的な誰かが「はい、みなさんこっちですよ」と安全な方に誘導してくれるのが日本です。自衛隊も警察も救急隊員も優秀で職業意識が高いので自分が何をしなくてもなんとかなっちゃうのがこの国です。けどね、それは世界共通じゃない。自分でなんとかしない限りなんともならない国のほうが大半を占めるのです。
氏のエッセーから20年。ネットで「上司が無能」、「会社のトップが悪い」、「政治家がひどい」というつぶやきを見る度にため息が出ます。じゃあ、僕は悪くないと主張する君はどうしようとしているんだ? と聴きたくなります。事態はこの20年で深刻化しているのかも。
坂の上の雲の時代、日本は世界から見たら上京したての子供のようでした。産業革命の恩恵に預かって近代国家を築き始めたばかりの子供──列強はこの国から利権を吸い上げようと手ぐすね引いている、そんな時代でした。ぼんやり立っていたって誰も何もしてくれない。それどころか見知らぬ大人に財布を掠め取られても、置き引きに遭ってもぼんやりしているお前が悪いといわれるような時代でした。だから上京したてだった子供は上京したその日から子供であることをやめて、自らの足で立ったのです。そんな父祖の時代を思いやれば今の子供たちを見てため息の一つも出るのは自明でしょう。
震災の時の振る舞いを見る限り案外心配する必要がないんじゃないかと言う気もします。けれど、あの時、踏ん張れたのは大人が大人として振る舞ったからじゃないでしょうか。あの異常事態のさなかでも黙々とネットにつぶやきを書き込むだけでどこかの誰かがなんとかしてくれるのをぼんやりと待っていた子供が数多いたのではないでしょうか?
オリンピックの気運が追い風となってこの国を訪れる外国人はますます増えます。住みたがっている人達も大勢いると思います。いつまでも、単一民族の島国ではいられなくなり、本当のグローバル社会がやってきます。彼らは彼らの常識で行動しますから、それがもとでトラブルが起きることもあるでしょう。そんな時、誰かが手を差し伸べなくても自分でなんとかできる人たれ。日露戦争の時代とは違った意味で自律が求められる時代が来ているんだと思います。
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