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一期一会の料理店

その店の料理はちょっと風変わりだ。
なにが、変わっているかと言えば、同じ料理を二度は食べられないのだ。次に店を訪れると品書きは新しい料理に変わっていて毎回違うものを出される。客たちはそれがさも当たり前の顔をしてそれに箸を伸ばす。常連の誰かが言っていた。「え? 全く同じ料理が出てきたらどうするかって? そりゃ、金返せって暴れるに決まってるよ」

そんな料理店が現実にあったとしたらびっくりしますよね。というかあり得ない。料理のレパートリーが無限湧きするような料理人がいたら超人を通り越して既に人間の域じゃない気がします。
けどね、仕事のジャンルが変わるとそれが当たり前の業界もあるのです。それが、創作の世界。いくら人気を博した小説でも次回作は新作でなければいけない。前とは違う料理を出さなければいけないのです。そういえば、中学時代の音楽の先生が言ってたな。人は誰しも一つの旋律を持っているって。プロの作曲家はその一つの旋律をアレンジしてまるで違う音楽のように聴かせることができるんだって。近代マジックの父と言われたフーディーニのところに若いマジシャンが弟子入りを申し込んできたエピソードも思い出しました。「君はいくつくらいマジックの種を知っている?」とフーディーニが尋ねると「200くらいは覚えたと思います」と弟子入り志願君。するとフーディーニは「そいつは、凄い。僕は2つか3つしか知らないよ。僕が君に教えられることは何もなさそうだ」と言ってお帰り願ったのだとか。マジックは種そのものよりもそれを使って不思議をどう演出するかが肝心。彼はそれに長けていたのでたった2つか3つの種から無限のマジックを生み出すことができたようです。
ワンパターン、マンネリ、前にも観た気がする。観客はいつだって容赦なく創作者を苛みます。そのブーイングに心が折れないように、潮流に飲み込まれてしまわないように、足掻き続けるのが創作者の一番の苦しみなのかも知れませんね。それでも、会心の料理を生み出して観客の顔が輝いたらそれは料理人冥利に尽きるのでしょう。その日を夢見て創作者達は今日も新しい料理に挑むのです。
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choal29

Author:choal29
酒と料理をこよなく愛するシステムエンジニアです。
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