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共有の是非

過日、政府が漫画やアニメの海賊版サイトを名指しで遮断するようプロバイダに促したというニュースを見かけました。政府としてはそういう指導は一切やってません、プロバイダが自主的におやりなさいというスタンスはせこい気もしますが、政府主導でやっちゃうと法律的にいろいろまずい気もしますのでギリギリの判断なんでしょうね。
物を作る人にとっては作品を違法コピーされて本来手に入るはずの収入をかすめ取られる海賊版の存在を苦々しく思っていたでしょうし、福音と言えるニュースだと思います。ただ、僕は少し違和を感じていてなんだか無思考で手続きを踏んだお役所仕事のように思えるんですよね。その違和感の根源は漫画や劇場アニメとテレビアニメのお金の流れの差異が斟酌されていないことにあります。
漫画は読者が書店でお金を払うことで出版社や作者が収入を得る仕組みになっています。劇場版アニメは少し違ってまずスポンサーを募って資金を集めて作品を作ります。これを観客が購入するチケット代金で回収する仕組みですね。ところがテレビアニメはスポンサーが資金を提供するところまでは同じなのですが、視聴者はお金を払わなくても見れる仕組みなのです。確かに、劇場版同様に後にDVDを販売して費用回収を図るのですが、この「テレビをつけたらタダで見られる」というところが明らかに漫画や劇場版と違うのです。
テレビの放送で一度見て「あー、面白かった」と言って終わるのも良し、「これは名作だからぜひDVDを買おう」と決断するのも良し、それは視聴者の自由であって制作者がDVDの購入を強要できるものではありません。つまり、テレビアニメの場合、費用の回収はあくまでもファンの喜捨に近い投資によって成立していると言えるのです。加えてテレビの放送は録画をすることができます。録画したものを何度繰り返して観ても違法には問われません。また、家族が録画した放送を観せてもらっても違法ではないでしょう。更に、録画し忘れていた回を友人宅に遊びに行って観せてもらっても法には触れないと思います(どうだろう?)。じゃあ、友人宅に行くのが面倒なので友人と共有しているサーバに上げておいてもらって視聴するのはどうでしょう? 不特定多数の人にお金を取って観せれば明らかに違法ですが、あくまでプライベートで録画を共有するのはセーフな気がするのです。
こと、テレビアニメに関して言えば、「テレビをつけたらタダで見られる」が出発点であるが故に、合法と違法の境界が非常に曖昧になっているのです。それは放送を録画するという技術がなかった時代に作られたルールを今の時代に適用しようとしている歪みで、それを斟酌せずに手続きを踏むのはお役所仕事だと僕が考える所以です。
かつて、ビデオデッキが登場した頃、ハリウッドの映画業界が映画館への足が遠のくことを危惧して家電メーカー(ソニーだったんじゃないかな)を相手取った訴訟を起こしたことがあったそうです。両者ともに自分のビジネスを根幹から揺るがす危機だったので気合が入っていたと思うのですが、結論から言って家電メーカーが勝ちました(じゃないと、今家で録画している行為が違法になっちゃいますよね)。弁護士が優秀だったようで、映画業界VS家電メーカーという構図を映画業界VS観客という構図にすり替えたらしいのです。で、「観客はそれを望んでいるぞ。あなた方は観客を敵に回すのか」とやったらしい。なんかずるい気もしますけどね

テレビアニメの海賊版サイトの是非については発端が「タダで観られる」から始まっているだけに僕はその妥当性を判断できません。ただ、声の大きいほうが勝ちになっているようで公平性を欠いている気がします。そもそものルールを見直す時期がとうに訪れているのではないでしょうか? 石田衣良は2004年に世に送り出した「アキハバラ@DEEP」でこんな予言をしています。
遠からず従来の著作権という概念は瓦解する。誰が禁じたとしても著作物はいとも容易く複製され広まっていく。やがて作者はファンからの喜捨によって生計を得るようになるだろう。
この意見を僕は是とはしませんが肯定はします。現実にそういう時代になったのだと思うのです。
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