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アマチュアリズムの錯誤

過日、キンタローが欅坂46のものまねをしてツイッターが炎上したり事務所にまで抗議の電話が来ているというニュースを見かけました。実は寡聞にしてキンタローがどんな芸人なのか知らないのですが(顔はなんとなく知っている)、抗議をしている人たちって何を勘違いしてるんだろうという印象を受けました。芸人はクライアントから依頼を受けて芸を披露してギャラを貰うのが仕事です。そこに何か違法な要素があれば非難されて当然ですがそうでなければ単に仕事をしただけの彼女が糾弾されるいわれはどこにもありません。どうしてもその芸にムカついて非難したいのであればそんな芸をやってくれと依頼したテレビ局に抗議すべきでしょう。
けど、この件は2つのイマドキを示唆しているように思えてとても興味深かったです。一つは観客とアイドルの距離感。昭和の頃、アイドルはブラウン管の向こうの存在でした。コンサートに行ってもステージと客席の間には厳然とした一線があってプロである歌手とアマである観客では住む世界が違う格の差を見せつけられたものです。それが、AKB48の登場以来様相が変わってしまいました。アイドルはステージを降りて至近距離で笑顔を見せ握手なんかしてくれる存在になってしまいました。客商売としてはありだし、ビジネスモデルとしてはとてもクレバーな戦略だとは思うのですが反面アマチュアとプロがあたかもボーダーレスになったかのように観客達を勘違いさせてしまいました。けどね、キャバクラと芸能はぜんぜん違う職種なんですよ。いくらすぐ傍で微笑んでくれても彼女たちはキャバ嬢のような接客が本業ではなく芸を披露するプロ、芸能人なのです。
AKB48が登場した2005年、ネットの世界にエポックメイキング的なサイトが登場します。その名はyoutube。バースデーパーティーのビデオ画像を出席者たちに配るのがめんどくさいというわりとふざけた動機で立ち上がったかのサイトは誰でも手軽に世界に向けて動画配信できるというコンセプトがウケて爆発的にヒットします。そして、歌やダンスを披露する自称「歌い手」、「踊り手」を多数輩出しそれに何万ものいいねが付くムーブメントは誰でも気軽にプロになれると観客達を錯誤させました。
確かにこれだけ見るとかつての歌う人(プロ)とそれを愛でる観客(アマ)という構図はとうに瓦解したかのように見えます。別にプロ歌手のCDを買わなくても動画サイトにアクセスすればそれなりに巧い歌を聞くことができます。けどね、聴き比べてみて下さい。やっぱりプロはプロ、アマはアマで歴然と技術の差があります。何よりプロには大勢の観客から「金を払ってでもその芸を見たい」という支持を得ているという気概があります。youtuberだって金を儲けてるという人がいるかもしれませんが、あれは再生数に応じてサイトが報酬を払っているだけ、再生すると課金されますという制度になったら見向きもされないでしょう(動画サイトで人気を博してプロに転向した稀有な人材も中にはいますがそれは特例)。
かつて若き日のビートたけしが落語の凋落ぶりを批判した際にとある噺家が「スイッチつけたらタダで芸を見てもらえるやつが何言ってやがる。こちとらわざわざ高座まで足運んで木戸賃払ってでも観たいって客相手に芸を披露してるんだ」と反論したとか。たけしは賢い人ですからその一言で黙ったようです。
冒頭の話しに戻りますが誰がなんと言おうとキンタローはプロのものまね芸人です。数多いる志願者を退けて生き残った猛者です。その芸の優劣を批判するならまだしも、元ネタの娘を馬鹿にしたのどうこうと騒ぐのはお門違いというもんだと思うのです。
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